新型コロナウイルスに感染し、薬を飲んでも後遺症が抜けない方は少なくありません。皆さんの中にも、コロナ後遺症で会社復帰や生活に難しさを感じている方はいるのではないでしょうか。
このような後遺症は、鍼灸治療で改善できる場合があります。
ここでは、コロナ後遺症の原因や、鍼灸治療についてご紹介します。また、実際詩庵で治療をして、咳が止まった患者さんの体験もご紹介しています。ご参考下さい。

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コロナ後遺症の原因とは

コロナ後遺症の原因は、まだ十分に解明されているわけではありません。しかし、次の5つが原因ではないかと言われています。

1.ウィルスの持続感染

「ウイルスの持続感染」は、体内にウイルスが残存することで、後遺症の症状が出続けるというものです。

2.ウィルスによる組織傷害

体内にウィルスが残ることで、ウイルスが組織を攻撃し続けます。これにより、「ウイルスによる組織障害」を引き起こします。

3.自己免疫反応

ウイルスによる組織障害が生じる結果、「自己免疫反応」が生じます。体内の免疫系が常に反応し、体がウイルスと戦い、炎症などの後遺症が生じる状態です。

4.常在細菌叢の多様性の低下

「常在細菌叢」とは、体の非無菌状態の部位に生息している微生物のことです。この微生物がコロナウイルスにより弱くなると、後遺症が治らず、長引くと考えられています。

5.集中治療後症候群(PICS)

「集中治療後症候群」は集中治療室にいることで、身体障害や認知機能、精神機能障害などを引き起こす状態をいいます。呼吸器機能や免疫機能が低下することにより、後遺症が続くと考えられます。

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新型コロナウィルス後遺症の鍼灸治療

鍼灸の消炎・免疫・防衛作用

鍼灸治療の作用には、様々な作用があります。中でも、体の体質を改善する「転調作用」、白血球を増やす作用である「消炎・免疫・防衛作用」が、コロナ後遺症の治療に大きな役割を果たします。

・消炎作用:白血球を患部に遊走させて、リンパ系を賦活させ病的な滲出物の吸収を促進させる
・免疫作用:白血球を増加させて免疫機能を高める
・防衛作用:白血球を増加させ免疫系を賦活させる。 

鍼灸治療のこれらの作用により、免疫力や自然治癒力を高めることができます。その結果、ウイルスの持続感染が止まることに繋がります。そして、転調作用によって組織の修復をすることで、組織障害で弱った状況を改善します。

コロナ後遺症の倦怠感・咳の治療

オミクロン型のコロナの後遺症で多い症状が、倦怠感と咳の症状です。

倦怠感の症状への鍼灸治療

患者さん一人一人の、全体の体の状態を確認します。これにより、何が原因で倦怠感が起きているのかを確認します。刺鍼による治療で、主に気血の巡りを改善します。これにより、組織の修復、自然治癒力や免疫機能を上げることができ、症状を改善していきます。

通常、倦怠感に対する鍼灸治療は、以下のようなアプローチを行います。

・血流改善によって、全身の組織を活性化する
・肩こりなど特に症状が強い部位には、別途処置を加える
・原因疾患がある場合は原因疾患に処置を加える(多発性障害など注意すべき症状が特にない場合)
・日常管理として、痛みなどの自覚症状の改善をはかる

コロナによる倦怠感の鍼灸治療の特徴

コロナ後遺症による倦怠感は、ウィルスが体内に残っていることで、ウイルスを倒そうと体が長期間働いている状態になっていることが一因と考えられます。

そこで、上記アプローチに加え、次のような治療を行い、ウイルスで損傷した組織を修復して免疫力を上げ、残るウイルスを倒すための施術をします。

・全身の気血の流れを改善する処置を行う
・倦怠感だけにフォーカスせず、消化器や呼吸器の症状を把握する
・倦怠感は内臓機能の低下にも影響するので、腑の強化を図る治療を行う

どこに刺鍼をするかは、患者さんによって異なります。一人一人の体の状態をみて、狙うツボの治療方針が変わってきます。気血や消化器官にもアプローチすることで、倦怠感の解消につなげます。

コロナの咳の鍼灸治療

コロナの咳と筋肉との関係

人が咳き込む時の様子を思い出してください。肩すぼめて背中を丸くして咳き込んでいることが多いと思います。私の経験上、胸を張って咳き込んでる人は見たことがありません。

背中が丸くなると(主に下部頚椎から上位胸椎)、背中と胸の筋肉が強く緊張します。背中が丸まった状態で咳をし続けると、胸の胸郭が広がりづらくなります。その結果、空気が入りづらくなり、息が吸いづらい状態に陥ります。

自律神経とコロナの咳との関係性

また、コロナ後遺症の咳は、夜中に出やすく、眠れないという方が少なくありません。咳は、副交感神経が優位の時に出やすいのが特徴です。

自律神経は、体内環境を一定の範囲に保つようにするシステムのことです。自律神経は、「副交感神経」と「交感神経」の2種類で構成されています。

交感神経:心と体が興奮状態のときに働くアクセルのようなもの
副交感神経:心と体がお休み状態のときに働くブレーキのようなもの
体の健康は、交感神経と副交感神経がバランスよく機能することで維持されています。

しかし、本来、副交感神経が優位の「お休み状態」の睡眠時に咳が出ると、深い睡眠を得ることができません。この状態が続くと、自律神経が乱れて頚部や背中の筋緊張が強くなりやすくなり、倦怠感や咳の症状などが抜けづらくなります。

コロナの咳の鍼灸治療の方針

咳は、ウィルスや細菌などの遺物を吐き出そうとして出るものです。しかし、コロナに罹患した後は、体力や免疫力が落ちています。そこで、体内に残ったウイルスを倒す為には、まず白血球の数を増加させて免疫機能を復活させることが重要になります。これにより、咳の症状も抑えることが可能になります。

そこで、鍼灸治療によって、以下のようなアプローチを行います。
・転調作用によって、白血球の活動の活性化を促す
・肺経の流れを改善する
・咽頭部の乾燥感の除去と、扁桃の腫れを取り、喉の負担を減らす
・背中の筋肉の緊張と張りを解消する
・自律神経を調整する

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コロナ後遺症が改善した患者さんの声

鍼灸治療は、WHO(世界保健機関)でも、神経系疾患や呼吸器系疾患への効果が認められています。

詩庵では、罹患後の咳に悩まれた方、空咳が続く方の治療を行い、1回で咳が止まった等の喜びの声をいただいています。

コロナ発症後、咳止め薬を服用しても、2週間以上咳が止まらなかった患者様です。

ノド周辺だけではなく、経絡(症状に関連する患部以外のツボ)にも刺鍼治療しました。その結果、1回の治療で咳が止まったと、喜びの声をいただきました。

なお、刺鍼の場所は患者さんによって異なります。症状を確認しながら、ベストな治療を行っています。

コロナで空咳が続いた患者様です。

問診をはじめとするカウンセリングで、咳症状以外にも、胃腸の負担など、体のほかの部位にも負担・不調があることが分かりました。

そこで、ノドの治療に加え、全身の体調を整えて免疫力を上げる治療を行いました。咳による背中、肩の張り、内臓機能にもアプローチすることで、咳が止まると同時に、体調も改善することができました。

そのほかの患者様の声について、詳しくはこちらをご覧ください

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