スポーツに打ち込んでケガをした経験がある方は多いのではないでしょうか。
私もかつて、野球に打ち込む中で、腰椎分離症やTFCCなど様々なケガに悩まされてきました。
鍼灸治療に携わり、治療技術を磨くうちに、意外とシンプルな治療で症状が改善ができることに気づきました。
このページでは、スポーツによるケガでお悩みの方に、治療やケアについてご説明します。
スポーツ疾患の痛みを解消する方法とは
スポーツ疾患を治すためにまず必要なのは、「痛みを発している組織の特定」です。痛みを発する組織がわかれば、その場で治療して症状を改善できます。
痛みを感じるのは、組織から炎症症状や発痛物質が出ている状態です。詩庵では、問診・触診により、痛みの軽減を確認しつつ痛みを発する組織を特定します。
スポーツ疾患で痛みを感じる理由
たとえば、筋肉の痛みでは、次のような状態が生じています。
・運動によって、筋繊維の断裂や微細損傷が生じる
・傷ついた筋繊維を修復しようとして硬結が強くなる
・硬結によって滑走障害(収縮)が生じ、筋肉がうまく動かなくなる
・筋肉が動かないことを痛みとして脳が認知する
痛みを感じると、さらに筋肉を動かしにくくなります。これが可動域制限などの障害を招き、パフォーマンスの低下という悪循環に繋がります。
トリガーポイントによるアプローチ
トリガーポイントとは、痛みなどの症状を引き起こす原因(トリガー)となる場所(ポイント)のことです。スポーツでは、筋肉のオーバーワークが筋疲労を起こし、トリガーポイントが形成されやすいです。
トリガーポイントの特徴は、その部分に圧迫や刺鍼をすると、別の場所に刺激を感じる点です。体の別の場所がズーンとする、重だるい、痛気持ちいい、しびれなどの感覚が起こります。
詩庵では、患者さんの症状に合わせたトリガーポイント治療を行います。トリガーポイントの場所は、症状や体格など、人によって異なります。患者さんそれぞれのトリガーポイントを見つけ、鍼を刺すことで症状を再現します。そこから、患者さんの症状に応じた最適の治療を導きだし、症状を改善していきます。
※トリガーポイント治療について詳しくはこちら
手技・鍼灸による詩庵のスポーツ疾患治療
プロスポーツ選手、スポーツが趣味の人、部活動を頑張る学生など、運動に打ち込む方にはケガやトラブルは付き物です。詩庵では、患者さんがスポーツに安心して取り組める治療に努めています。
1. 手技によるスポーツ疾患治療
国家資格者による手技治療で、筋肉の硬結をほぐし、血流をよくして動きを改善します。筋肉の収縮によって、筋肉が上手く働かない状態を、脳が「痛み」として認知しているため、手技治療で筋肉の硬さが取れることで、痛みの改善にも効果があります。
2. 鍼によるスポーツ疾患治療
ツボと呼ばれる経絡に、細い鍼を打つ治療です。鍼灸には、筋緊張の緩和、神経痛の軽減等に効果があることがWHOでも認められています。
鍼を用いることで、指では届かない筋肉の深部に刺激を加え、自己回復力を高めて生理機能を向上させたり、血流を上げることができるため、筋肉の頑固な硬さも改善しやすくなります。局所的な対処療法にとどまらず、全身からケガの回復にアプローチできます。
カッピング(刺絡)治療
オリンピック選手の背中に、赤黒い円形のあざがあるのを見た方もいるかもしれません。刺絡治療では、体に容器を吸着させ、中を真空状態にすることで、血行を促進します。うっ血が出ることもありますが、1~2週間で消滅します。あわせて、毛細血管から瘀血を出すことで、筋肉の張りを取り、自己回復力を高める効果が期待できます。
3. アナトミートレインによるアプローチ
人の体は、筋膜でつながっています(アナトミートレイン)。
そのため、患部だけでなく経絡や筋膜に沿って治療することで、より効果が高まります。例えば、腰が痛い場合、足やお尻など、腰に関連する経絡にも施術することで、腰痛改善の効果が一層あがります。
アナトミートレインにアプローチすることで、患部の筋緊張がほぐれたり、リンパや血流が改善する効果が生じるため、良い状態をキープすることが可能です。
4. ケガの再発を防ぐ治療
ケガをすると、その部位をかばって体の他の箇所に負担が生じたり、バランスを崩すなどして、ケガを再発しやすくなります。手技・鍼灸治療に加え、ストレッチによる可動域の拡大、テーピングによる筋肉や関節のサポートにより、痛み・症状の早期改善だけでなく、ケガの再発予防にもつながります。
無資格者が無理にストレッチなどをすると、かえって体を痛めるリスクがあります。まずは柔道整復師・鍼灸師の国家資格を持つプロにご相談ください。
三段階の仮説検証によるスポーツ疾患治療
詩庵鍼灸接骨院では、問診を重視し、仮説検証を重ねて治療を行います。痛みの対処療法だけでなく、痛み・症状の根本治療を目指し、パフォーマンスの向上につなげます。
【第一段階の仮説検証】
動作で痛みが出るタイミングや範囲、痛みの性質などを問診し、痛む組織を探ります。
【第二段階の仮説検証】
痛みを発する組織を特定する検査を行います。
特定した組織に治療をし、ストレスをかけて症状が改善するか確認します。
症状に変化がなければ、再度検査をし、違う組織にアプローチします。
【第三段階の仮説検証】
治療により痛みが改善すればその組織が原因ですが、違う場所が痛くなることがあります。
周りの組織や骨格の歪み、経絡、トリガーポイントなどを駆使して、他にも痛みの根本原因がないか探ります。
人間の体は一番痛いところを感じるようにできています。そのため、最初に痛かったところの状態が改善すると、痛い場所が変わることがあります。一番痛かった場所が良くなったことで、二番目に痛かった場所が一番に昇格し、痛みを強く感じるようになるといった具合です。
スポーツは、全身の筋肉が連動します。そのため、対処療法で一か所の痛みが治ったと思っていると、体の他の場所に負担がかり、かえって体を痛める結果になりかねません。
私は、私自身が長く野球をしてきた経験からも、スポーツの疾患では、痛む組織だけではなく、全身にアプローチして痛みの根本を探り、治療することが大切だと考えています。
スポーツ疾患(靱帯損傷)を治療した実際の例
靭帯損傷が改善した男性の患者様
スポーツで開脚をした際、大腿四頭筋を損傷された男性の患者様です。他の治療院や接骨院に長く通われていましたが、痛みが取れず、来院されました。
触診の結果、患部が慢性的に炎症し、患部をかばって他の部位に負担がかかっていることが分かりました。そこで、鍼灸治療と手技治療により、炎症を鎮め、筋緊張を取る治療を行いました。
その結果、約2か月で症状が改善しました。患者さんからは、元のようにスポーツを楽しめるようになったと、喜びの声をいただいています(ご参考:患者さんの声)。