声の不調やのどの痛みがある場合、西洋医療では、声帯の炎症を抑えるためにステロイドの吸入や点滴が行われるのが一般的です。メジャーな治療方法ですが、薬が合わない、副作用が心配という方も多いのが実情です。
このページでは、声枯れが治る期間の目安や、副作用のない鍼灸による声枯れ治療についてご説明します。
ステロイド吸引や注射の副作用がつらい方
ステロイドを用いた声枯れの応急処置
西洋医療では、声枯れの治療として、副腎皮質ステロイド(ステロイドホルモン)を用いた、ステロイド吸入(ネブライザー療法)が行われるのが一般的です。本番前などは、抗炎症効果を上げるため、ステロイドの点滴・注射や、内服が併用されることも多いです(1)。
ステロイドの副作用とは
ステロイドと聞くと、副作用が心配な方も多いのではないでしょうか。長期間ステロイドを服用すると、高血圧、糖尿病、高脂血症、骨粗しょう症、易感染症、消化性潰瘍、血栓症、精神症状、ムーンフェイス、むくみなどの副作用を生じる場合があります(2)。
ステロイドの副作用は、症状や薬の量、処方期間などで変わります。そのため、医師の指示に従って利用すれば怖がることはありません。一方で、ステロイド薬は、副腎皮質ホルモンの量にも作用するので、体や心にストレスを感じる方もいらっしゃいます。
(1)長西秀樹ほか(2012).「職業歌手にみられる急性炎症時の音声障害への対処」『音声言語医学』53pp153-157.
(2)市川陽一(2013).「ステロイド薬の長期使用における注意点と副作用」『ドクターサロン』57巻pp21-24.
声枯れが治る期間の目安
病院(西洋医療)では、急性咽頭炎・声帯浮腫などの炎症・腫れを抑えるため、解熱鎮痛剤、抗炎症剤、抗生剤等の処方や、ステロイドを鼻や口から吸入するネブライザー治療がよく行われます。回復まで概ね2週間くらいかかります。
声帯ポリープや声帯結節では、抗炎症剤の処方やネブライザー治療に加え、ステロイド薬の服用や注射・点滴も行われます。効果が出なければ、切除手術も検討されます。手術には、通常2~7日程度の入院と、その後5日間の沈黙が必要です。
加齢に伴う声帯委縮では、声帯の強化トレーニングのほか、自家脂肪やコラーゲンを注入する手術が行われることもあります。手術後は声帯を観察しながらの音声治療が必要になります。そのため、回復まで一定期間が必要になります。
副作用のない鍼灸による治療方法
鍼灸治療は、ステロイドをはじめとする薬の服用や注射・点滴を用いません。そのため、副作用が心配な方や、薬が体質に合わない方に向いています。
また、薬の服用をしている方は、内臓に負担がかかっていることがあります。内臓の負担は、腹部や背中の筋肉の張りを招きます。そしてこの張りが、声の出しにくさにつながっているケースも少なくありません。刺鍼によって内臓の負担を解消することで、楽な呼吸や発声につなげることが可能です。
具体的には、患部や周辺に鍼を打つことでたまった血液を動かして血行を促進させたり、鍼を刺す刺激による自己回復力の促進により症状を改善させます。また、筋緊張を緩めることも、生体機能の向上に効果が認められます。
WHOで有効性が認められた鍼灸治療
鍼灸治療で効果が出る理由とは
鍼灸は、治療効果の全てのメカニズムが明らかになっているわけではありません。しかし、長年の臨床と研究から、血行促進・生体機能調整・免疫力活性化などの作用で効果を生じると考えられています。WHO(世界保健機関)でも、多くの疾患に鍼灸治療の有効性が認められています。
WHOで鍼灸療法の有効性が認められた疾患・症状
声枯れの原因はさまざまです。鍼灸治療では、呼吸器系疾患の一つとして症状にアプローチすることができます。また、スランプやジストニアなど、メンタルの要素も絡む場合もまずはご相談ください。
神経系疾患 | 神経痛・神経麻痺・痙攣・脳卒中後遺症・自律神経失調症・頭痛・めまい・不眠・神経症・ノイローゼ・ヒステリー |
運動器系疾患 | 関節炎・リウマチ・頚肩腕症候群・頚椎捻挫後遺症・五十肩・腱鞘炎・腰痛・外傷の後遺症(骨折、打撲、むちうち、捻挫) |
循環器系疾患 | 心臓神経症・動脈硬化症・高血圧低血圧症・動悸・息切れ |
呼吸器系疾患 | 気管支炎・喘息・風邪および予防 |
消化器系疾患 | 胃腸病(胃炎、消化不良、胃下垂、胃酸過多、下痢、便秘)・胆嚢炎・肝機能障害・肝炎・胃十二指腸潰瘍・痔疾 |
代謝内分泌系疾患 | バセドウ氏病・糖尿病・痛風・脚気・貧血 |
生殖・泌尿器系疾患 | 膀胱炎・尿道炎・性機能障害・尿閉・腎炎・前立腺肥大・陰萎 |
婦人科系疾患 | 更年期障害・乳腺炎・白帯下・生理痛・月経不順・冷え性・血の道・不妊 |
耳鼻咽喉科系疾患 | 中耳炎・耳鳴・難聴・メニエル氏病・鼻出血・鼻炎・ちくのう・咽喉頭炎・へんとう炎 |
眼科系疾患 | 眼精疲労・仮性近視・結膜炎・疲れ目・かすみ目・ものもらい |
小児科系疾患 | 小児神経症(夜泣き、かんむし、夜驚、消化不良、偏食、食欲不振、不眠)・小児喘息・アレルギー性湿疹・耳下腺炎・夜尿症・虚弱体質の改善 |
少しでも体の負担を軽くする治療を
詩庵鍼灸接骨院では、患者さんの心や体のストレスを少しでも減らす治療を提供しています。たとえば、次のような方もお気軽にご相談ください。
・鍼(針)が怖い方
鍼を刺さない「置き鍼」の貼付をすることにより、持続的な効果が期待できます。
・金属アレルギーが心配な方
チタン製の棒で圧刺激を加える「ていしん」治療により、症状改善を図ります。
・筋緊張がある方
のどの炎症等だけでなく、体の他の筋肉が緊張している方も多いです。そこで、筋肉の緊張を緩め全身のバランスを整えることで、発声しやすくなります。
詩庵鍼灸接骨院のShimon-careでは、問診・カウンセリングを重視しています。患者さんひとりひとりの症状に応じた治療を検討し、十分ご説明をした上で治療します。体質に心配がある方も、まずはお気軽にご相談ください。