スポーツ疾患の中でも、スポーツ障害は、同じ動作を繰り返すことで、体の特定の部位に負担がかかって生じます。プレイするスポーツによって、症状や発症する部分に違いがあります。スポーツ障害を放置して悪化すると、日常生活にも影響するため、まずは症状を把握することが大切です。
このページでは、スポーツの種目別のスポーツ障害の種類と治療方法をご紹介します。
種目別・スポーツ障害の特徴と症状
スポーツ障害は、種目によって動きが異なるため、生じる症状や痛みに特徴があります。適切な治療を受け、早期回復を目指すために、まずはご自身の症状が何に当てはまるか確認してみましょう。
野球によるスポーツ障害
野球のスポーツ障害は、主に、以下の3タイプに分けられます。
①関節障害:投球フォーム等が原因の野球肘・野球肩など
②神経障害:腕の上げにくさや、手指のしびれを生じるもの
③血行障害:投球する腕に生じる胸郭出口症候群、補球する手に生じる手指血行障害など
具体的な症状としては、体の場所別に次のようなものがあります。
・肩痛:野球肩、投球障害、反復性肩関節脱臼、腋窩神経麻痺、有鈎骨鈎突起骨折
・腕痛:血行障害(胸郭出口症候群、尺骨動脈血栓症、手指血行障害)
・肘痛:野球肘、関節ねずみ
・腰痛:椎間板ヘルニア(坐骨神経痛)、腰椎分離症、腰椎すべり症
・ひざ痛:ジャンパー膝、半月板損傷、離断性骨軟骨炎
・疲労骨折
・足首痛:足関節捻挫
サッカーによるスポーツ障害
サッカーは、インサイド・アウトサイド・インステップなど、蹴る向きが様々です。そのため、足と股関節が逆回旋し、特に膝関節に負担がかかりがちです。中でも、靭帯や半月板の怪我が多いですが、脛骨結節が出るオスクッド症や、足首の骨の剥離、足小指の骨折なども多く見られます。
・首痛:頸椎捻挫
・腰痛:腰椎分離症
・ひざ痛:オスクッド症、半月板損傷、前十字靭帯損傷、膝内側・外側側副靭帯損傷
・脛痛:筋挫傷
・足首痛:足関節捻挫、フットボーラーズアンクル、インピンジメント症候群
・足痛:ジョーンズ骨折
テニスによるスポーツ障害
テニスは、サーブ等オーバーヘッドの動作によって、肩関節を損傷しやすいスポーツです。同時に、足首捻挫など下半身のケガも多いです。メジャーな疾患であるテニス肘も、悪化すると、物を持つ・ドアノブを回す・PCのキーボードを打つなどの日常生活でも痛みを生じるようになります。
・肩痛:インピンジメント症候群、腱板断裂
・肘痛:テニス肘(上腕骨外側上顆炎・上腕骨内側上顆炎)
・手首痛:尺骨突き上げ症候群
・腰痛:筋筋膜性腰痛症、腰椎分離症、腰椎すべり症、腰部椎間板ヘルニア、
・膝痛:半月板損傷、前十字靭帯損傷、
・足痛:テニスレッグ(肉離れ)
・足首痛:足関節捻挫
ゴルフによるスポーツ障害
ゴルフは、足から体幹、そして腕に続く一連の動きによってボールを飛ばす動作が特徴です。体の捻りを繰り返すため、無理なフォームで行っていると、特定の部位に負担がかかります。そのため、スポーツ障害の発生につながりやすいリスクがあります。
・首痛:頚椎症性神経根症
・腕痛:ゴルフ肘(上腕骨内側上顆炎)
・手首痛:腱鞘炎
・腰痛:筋筋膜性腰痛症、腰部脊柱管狭窄症、腰部椎間板ヘルニア、変形性腰椎症、腰椎分離症、腰椎すべり症、ぎっくり腰
・ひざ痛:変形性膝関節炎、膝蓋腱炎
・肋骨疲労骨折
ランニングによるスポーツ障害
ランニングはメジャーなスポーツですが、ランナーの約45.3%が障害を経験したというデータもあります(1)。初心者に多いシンスプリント、膝関節の酷使によって生じるランナー膝など、走り方によってもさまざまな炎症や痛みを招きます。
・ひざ痛:ランナー膝(腸脛靭帯炎)
・脛痛:ジャンパー膝(膝蓋腱炎)、シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)、鵞足炎
・疲労骨折
・足首痛:アキレス腱炎
・足痛:足底腱膜炎
(1)中嶋寛之ほか財団法人日本体育協会スポーツ科学委員会(昭和54年).『No.5大衆ランナーの整形外科的研究』日本体育協会スポーツ科学研究報告pp1-46.
ダンスによるスポーツ障害
ダンスは、腰の反りやジャンプ、激しいステップなど、可動域を拡大させて体全体で表現します。下半身を中心にケガが生じやすく、中でもアキレス腱炎・肉離れ・ターンの失敗等による足首の捻挫が多いです。また、首の動きの繰り返しによる頸椎椎間板ヘルニアも生じます。
・首痛:頸椎捻挫、頚椎椎間板ヘルニア、バーナー症候群
・腰痛:腰椎椎間板ヘルニア
・ひざ痛:ジャンパー膝(膝蓋腱炎)、膝関節捻挫
・脛痛:シンスプリント(脛骨過労性骨膜炎)、鵞足炎
・疲労骨折
・足痛:アキレス腱炎、肉離れ
その他のスポーツ障害
その他のスポーツ障害として、以下のような症状があります。
・肩関節損傷(ラグビー、アメフト、格闘技など)
・反復性肩関節脱臼(ラグビー、アメフト、格闘技など)
・突き指(バスケットボール、バレーボールなど)
・椎間板ヘルニア(卓球など)
・鼠径部痛症候群(サッカーなど)
・骨盤裂離骨折(サッカー、陸上競技など)
・オスグット病(バスケットボール、バレーボールなど)
・シンスプリント(バスケットボール、バレーボールなど)
WHOでも有効性が認められた運動器系疾患への鍼灸治療
鍼灸治療では、血流の調整、筋緊張の緩和、刺鍼による自己回復力の向上により症状を緩和させます。外傷の後遺症・関節炎などへの鍼灸療法の有効性は、WHO(世界保健機関)でも認められています。
西洋医療では、スポーツのケガに対して、抗炎症目的でステロイドがよく処方されます。一般的な治療法ですが、体質的に合わない方、副作用が辛い方もいらっしゃいます。鍼灸治療はステロイドをはじめとする薬を用いないので、副作用が心配な方でも安心して受けることができます。
詩庵鍼灸整骨院のスポーツ障害治療
西洋医学(解剖学)と東洋医学の融合治療
患部が急性の炎症を起こしている場合、直接刺激を加えると炎症を悪化させる場合もあります。そこで、詩庵鍼灸整骨院のShimon-careでは、解剖学に基づくアナトミートレイン・遠絡治療を用い、患部とつながった場所に鍼を打つことで、連鎖的に患部の症状を改善する治療を行います。
鍼は、多く打てば良いわけではなく、打つべき場所や本数は症状によってさまざまです。また、金属アレルギーで鍼が心配な方も、チタン製の棒鍼による圧刺激などでも治療が可能です。ご自身にあった鍼灸治療に興味がある方は、お気軽にお問い合わせください。
アスリートフードマイスターによる日常ケア
スポーツ障害は症状が慢性化した状態です。そのため、早期回復を目指す場合は、日常生活の改善も重要になります。詩庵鍼灸整骨院の代表・仙波詩文は、自らもスポーツ障害に悩んだ経験を持っています。また、鍼灸治療の知見に加え、アスリートフードマイスターの資格を保有しています。そのため、鍼灸の治療に加えて食生活のアドバスも受けられ、よりスムーズな回復とけがの再発防止につなげることが可能になります。