今回は本番前の声枯れを早く治す治療法を実際の患者さんの治療内容と一緒にご紹介します。
一昨日の夜から喉の痛みと声枯れ鼻詰まり
明日本番で高声が出づらいボーカリスト
患者さんの紹介で治療に来たロックボーカリスト。
明日に大切な本番を控え喉の痛みと鼻詰まりが治らず当院に受診してきました。
治療のポイント
- 粘膜消炎処置
声枯れに対しては喉の粘膜の炎症を改善する治療をします。
脾経の「三陰交」「陰陵泉」肺経の「尺沢」「列欠」などのツボを使い喉粘膜などの炎症を改善します。 - 声帯周りの前頚部の筋肉の緊張を改善
クビ周りの筋肉は歌う際に負荷がかかり緊張しやすいです。
声が枯れている状態だと余計に力が入り咽頭腔を圧迫しのど声や力み声になりやすいです。
胸鎖乳突筋、斜角筋、舌骨筋などの筋肉の緊張をとる必要があります。 - 鼻周り、正中の頭部で鼻詰まりを改善
鼻詰まりには「印堂」「迎香」「上星」などで鼻詰まりを改善する事ができる。 - 横隔膜のなどの呼吸筋を緊張を改善
声が出ずらいと呼吸筋に余計な力が入りすぎ緊張が強くなるので治療する必要がある。
横隔膜の緊張をとる治療の詳細はこちら→呼吸機能を上げる横隔膜治療
その他にも気、血の巡りをよくして自然治癒力を高めるなどして治療しました。
治療前に比べ、かすれはするものの高い声が出やすくなり鼻詰まりも改善しました。
本番当日はなんとか乗り切り、次の本番までに一回治療をして格段に声が出やすくなったようです。
本番前日の治療は完全に良くなる場合もありますが100%復活するのはなかなか大変です。
ある程度回数を重ねて治療する必要があります。
鍼灸治療する事で薬の効きも良くなるので合わせて治療するのも一つの手かもしれません。
声枯れでや歌いずらい方の治療症例、患者さんの喜びの声
高い声が出づらくなった声優
Googleマップからのお問い合わせでした。
声優のお仕事をしていて喉が閉まっている感じで鼻通りが悪く高い声が出づらく声枯れしている状態。
それに加え首の前がヒリヒリする感じの症状でした。
治療のポイント
声帯が閉まっている感じは前頚部の筋肉の緊張が強いと考えられます。
もともと首や肩が固まりやすく首を動かすときに可動が悪い状態でした。
声に関連する斜角筋、胸鎖乳突筋、胸骨舌骨筋などの緊張を緩めるのがポイントです。
直接緩めるのは勿論なんですが筋膜のつながりや経絡の流れを使った治療も併用して行います。
手足、お腹などにも治療ポイントがあるので直接緩めるよりも治療効果が高いです。
治療中に声枯れが改善し治療後には高い声も出しやすくなる
鼻詰まりも解消し患者さん自身も驚かれてました。
同じ声優の方からも「前よりいい声している」と周りの方も変化に気づかれたそうです。
その他のトラブルに関する治療
詳しいツボの名前はページの下部に表示されています。
本番前の声枯れを早く治す治療法はいかがでしたか。
何事も早めの治療をオススメします。
声枯れに効くツボ
喉が枯れて、歌いづらい、話すのが辛いなど、様々な症状があると思います。
応急処置的なツボを解説していきます。
喉や扁桃炎に効く「肺経」のツボ
喉や扁桃の症状には、「太陰肺経」という経絡を治療していきます。
太陰肺経は喉の痛み、扁桃炎、咽頭部の腫れ、咳、胸の痛みなどの呼吸器系疾患に有効な経絡です。
主な疾患
・扁桃炎
・咽頭炎
・耳下腺炎
・咽頭部の腫れ
・気管支喘息
・気管支炎
様々な呼吸器疾患の治療に対応します。
急性症状に対応できるツボ
突然の扁桃や咽頭の腫れなどに有効なのが「孔最」と「尺沢」です。
「孔最」は急性症状の治療に使用される「郄穴」という役割があります。
「尺沢」には「木火土金水」の中で水に属します。
炎症は「火」が燃えているイメージです。
「火」を消すのは「水」です。
この二つを組み合わせることで、治療効果を上げていきます。
慢性的な症状を治すツボ
慢性的に症状が長引く場合に有効なのは、「列欠」です。
「列欠」は長引く症状を改善する「絡穴」という役割があります。
このように、急性症状か慢性疾患かによっても、ツボの選択が変わります。
また、患者さんの体の症状の出方、状態でもツボの選択が変わってきます。
気管支喘息のような空咳を伴う症状の場合、咳をすることで背中の筋肉の緊張が強くなります。
そこで、背中全体の緊張をとり、胸郭を広がりやすくして、呼吸を楽にする治療を行います。
また、咳を抑えるツボや、ノドの粘膜に潤いを与えるようなツボも選択することで、さらに症状を改善し、状態を良くすることができます。
セルフケアでこのツボを押して対処するのもいいですが、全体の症状のバランスをみて治療する事がとても大事です。
本番前の声枯れを早く治す治療法を実践したい方は本番ギリギリより早めに治療することが大事です。
これらの症状でお悩みの方はこちらまでお問い合わせください。
参考:新版経絡経血概論 医道の日本社 アナトミートレイン